2025.8.21

家を見上げるとき、あなたはどこに注目しますか? 多くの人は、屋根の形や外壁の色、窓の配置などに目を向けるかもしれません。しかし、本当に「家づくりに詳しい人」や私たち設計士には、密かに注目する場所があります。 それは、家の佇まいの美しさや品格を判断する、大切なポイントです。
それは、屋根の裏側の部分、「軒天(のきてん)」です。
「軒の裏側なんて、普段あまり意識しないよ」と思われるかもしれません。ですが、侮ることなかれ。この軒天のデザイン一つで、家の外観の印象は驚くほど変わります。 さらに、そこで過ごす時間の心地よさも、大きく左右されるのです。
今回は、そんな知る人ぞ知る「軒天」デザインの魅力をご紹介します。 あわせて、その効果を最大限に引き出した一邸も見ていきましょう。 この記事を読み終える頃には、きっとあなたも街の家々を見上げるのが、少し楽しくなっているはずです。
まずは、軒天が持つ大切な役割を簡単にご紹介します。
軒天は、外観に深い陰影と奥行きを与えます。 そして、建物全体に重厚感や品格をもたらします。 外壁との色の組み合わせ次第で、モダンにもナチュラルにも、様々な表情を創り出せます。
本来の役割は、屋根材の裏側を隠してスッキリ見せることや、外壁を雨風や紫外線から守ること。また、火災時に炎が屋根裏へ燃え移るのを防ぐ「延焼防止」という重要な役目も担っています。
軒天の素材や色を、室内の天井やフローリングの色とリンクさせてみましょう。 そうすることで、家の中と外が自然に繋がります。 空間に一体感と広がりが生まれるのです。
このように、軒天はデザインと機能を兼ね備えた、家づくりにおける隠れたキープレーヤーなのです。

それでは、今回の事例を見ていきましょう。この住まいは、軒天のデザイン効果を巧みに使った好例です。
まず外観で目を引くのは、美しいコントラストです。 明るいレンガ調の外壁と、軒天の「濃い木目調」が対比されています。 優しい色合いの外壁に対し、軒天にダークな色を持ってくる。 これにより、視線が自然と上へと誘導され、建物がグッと引き締まって見えます。 この色の対比が、落ち着きと安定感のある印象を生み出しているのです。
軒天の魅力が最高潮に達するのは、陽が落ちてからです。 軒天に埋め込まれたダウンライトが灯ると、軒天そのものが巨大な照明器具のよう。 温かい光で、建物とアプローチを優しく照らし出します。 夜の闇に浮かび上がる、木目の美しいテクスチャー。 それは、昼間とは全く違う、上質でドラマチックな表情です。 仕事や学校から帰ってきた家族を、この温かい灯りが迎えます。 この光景は、何にも代えがたい日々の喜びとなるでしょう。

この家のもう一つの特徴が、2階の「インナーバルコニー」です。 屋根と壁に三方が囲まれた、プライベート性の高い空間です。 この心地よさを決定づけているのも、また「軒天」なのです。
深く張り出した木目調の軒天が、このバルコニーの「屋根」となります。 強い日差しや多少の雨をしのいでくれるだけではありません。 外の世界から守られているような、特別な「おこもり感」「巣ごもり感」も生み出します。

そして、この軒天と壁は、まるで一枚の絵画を飾る「額縁」のようです。 目の前に広がる空の景色を、美しく切り取ります。 椅子に座り、ただ流れる雲や夕焼けのグラデーションを眺める。 そんな何気ない時間が、この場所では最高の贅沢に変わるのです。
このインナーバルコニーは、「ファミリースペース」として設計されています。 2階の広いホールとひと続きになっています。 朝はヨガで心と体を整える。 昼は読書やお子様の遊び場に。 夜は夫婦でお酒を愉しむ語らいの場として。 暮らしのシーンに合わせ、自由な発想で使える、もう一つのリビングです。
多くの人が見過ごしてしまうかもしれない、屋根の裏側。 しかし、私たち玉善の設計士は、そうした細部にこそ価値があると考えます。 家の価値と暮らしの豊かさを高めるヒントが、そこに隠されていると信じています。 軒天の色、素材、そしてそこに当たる光。 それらを緻密に計算し、デザインに意味を持たせる。 そのこだわりが、何年経っても色褪せない、愛着の湧く住まいを創り上げます。
玉善では愛知県内に常時100棟以上の分譲住宅を販売しておりますので、玉善で注文住宅をご検討されるお客様は、リアルサイズのモデルハウスを多数ご見学いただけます。どんな場所にどんな建物があるのか、下の地域から是非チェックしてみてください!
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