2025.9.11
かつての日本家屋にあった「縁側」。訪ねてきたご近所さんが、靴を脱がずに腰かけて、お茶を飲みながら世間話に花を咲かせる。そんな、内と外とが緩やかに繋がる、おおらかなコミュニケーションの場を懐かしく思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現代の住まいは、気密性や断熱性が高まり快適になった一方で、「内(靴を脱ぐ場所)」と「外(靴を履く場所)」が明確に分断され、かつての縁側のような曖昧で心地よい空間は失われつつあります。
もし、その伝統的な日本の住まいの知恵を、現代のライフスタイルに合わせて美しく蘇らせることができるとしたら。 今回は、京都の町家などに見られる「通り土間(とおりどま)」という設計アイデアを現代の住まいに取り入れ、家族の暮らしに新しいリズムと繋がりを生み出した、ユニークで美しい一邸をご紹介します。
今回のお住まいは、南北に細長い敷地の形状をしています。こうした土地で課題となるのが、家の中心部まで、いかにして光と風を届けるか、という点です。
その課題を解決する一つの答えが「通り土間」。 これは、玄関から家の奥まで、土足のまま通り抜けられる廊下状の土間のことで、古くは京都の町家などで、店の入口から奥の住居や蔵まで続く通路兼作業場として使われていました。
この伝統的な設計を、現代の暮らしに翻訳するとどうなるか。それは、単なる通路ではなく、家族やゲストとの新しいコミュニケーションを生み出し、日々の暮らしをより自由で豊かにするための、多目的な「半屋外空間」となるのです。
玄関の扉を開けると、そこには家の奥まで続く、美しい通り土間が伸びています。足元は、砂利や砕石の表情が豊かな「洗い出し仕上げ」。本物の石の質感が、まるで趣のある小道を歩いているかのような感覚を呼び覚まします。
そして、ふと上を見上げると、土間の上部は天井までのダイナミックな「吹き抜け」になっています。高い位置に設けられた窓からは、太陽の光がさんさんと降り注ぎ、暗くなりがちな家の中心部を、明るく開放的な空間へと変えてくれます。この「光の井戸」が、家全体に心地よい光と風を届けてくれるのです。
夜には、天井から吊り下げられた大きな丸い和紙のペンダントライトが、ぼんやりと優しい光を放ち、昼間とは違う、しっとりとした和の趣を演出します。
この通り土間の最大の魅力は、LDKと隣接していることにあります。フローリングのリビングが、土間より一段高くなっているため、その段差が、かつての「縁側」のような役割を果たしてくれるのです。
・新しいコミュニケーションのカタチ 気心の知れた友人が訪ねてきたとき。お客様は靴を履いたまま土間に、そして家の主人はリビングの床に腰かけて、気軽に会話を愉しむ。そんな、かしこまらない、おおらかなコミュニケーションが、ここでは日常の風景になります。
・子供たちのための、最高の「ピット」 お子様にとっては、この土間は最高の遊び場であり、便利な「ピット」のような場所になるでしょう。外から帰ってきて、泥んこの靴のまま、ここにランドセルや部活のバッグを置く。そして、そのまま元気に出かけていく。リビングを汚すことなく、のびのびと活動できる、子供たちのための特別なスペースです。
・趣味やグリーンを楽しむ、半屋外の自由空間 水や土を気にせず使える土間は、ガーデニングを楽しむ場所としても最適です。観葉植物をたくさん置いたり、自転車やアウトドア用品のメンテナンスをしたり。リビングでは少し躊躇してしまうような趣味も、この場所なら気兼ねなく楽しむことができます。
玄関からLDKへと誘う、美しい通り土間。 それは、細長い敷地という条件を最大限に活かし、伝統的な日本の建築の知恵を、現代の家族の暮らしへと見事にフィットさせた、設計士の答えです。
ただ部屋を並べるだけでなく、暮らしの中に「余白」や「曖昧な空間」をデザインすることで、日々の生活はもっと自由に、もっと豊かになります。私たち玉善は、こうした古くて新しい発想で、お客様一人ひとりのための、新しい暮らしのカタチをご提案します。
玉善では愛知県内に常時100棟以上の分譲住宅を販売しておりますので、玉善で注文住宅をご検討されるお客様は、リアルサイズのモデルハウスを多数ご見学いただけます。どんな場所にどんな建物があるのか、下の地域から是非チェックしてみてください!
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